レズリー・ウェスト

エリック・クラプトンに成り損なった大仏

 写真を見れば判る通り「大仏」「アンドレ・ザ・ジャイアント」「酒井康」等色々な人物が浮かんでくるイカすデブオヤジである。

 で、このオヤジは'69年にソロ・アルバムをレコーディングしていたら、いつの間にかマウンテンのアルバムになっていたと言われている「Leslie West-Mountain」でデビュー。この年行われたアメリカの駄目人間の祭典ウッドストックに出演する。

 マウンテンのオリジナル・メンバーはレズリー・ウェスト(Gt,Vo)、フェリックス・パパラルディ(Bs,Vo '84年嫁さんに射殺される)、コーキー・レイング(Ds)、スティーヴ・ナイト(Ky)の4人。パパラルディがクリームのプロデューサーだった事も有り、デビュー当時は「アメリカのクリーム」と言われたらしい。そう考えると上手くやってりゃ、このオヤジはエリック・クラプトンみたいに成れたのかもしれない。ルックスは別だけど....。

Leslie West

 '72年の解散までにリリースしたアルバムは、'70年にジャケット内側の写真も悩ましい傑作といわれている「Climbing!」。'71年には「Nantucket Sleighride」と汚くてルックスの悪いオッサンが4人も並んでいるジャケットの「Flowers Of Evil」の2枚をリリース。「Flowers Of Evil」はA面がスタジオ・レコーディング、B面がライヴという変則的なもの。'72年に前作のB面の評判の良さから気を良くしてリリースをしたライヴ・アルバム「The Road Goes Ever On」の計5枚。

 マウンテン解散後、コーキー・レイングを引き連れパパラルディよりもある意味タチの悪いベーシスト、ジャック・ブルースとウェスト・ブルース&レイングを結成。やはり組んだ相手が悪かったのか、'73年にスタジオ・レコーディング・アルバム「Why Dontcha」「Whatever Turns You On」と暑苦しいナイスなアルバム2枚を残して結成から1年ほどで解散する。解散から1年ほど経った'74年にライヴ・アルバム「Live'n'Kickin'」がリリースされる。

 '73年、スティーヴ・ナイトの代わりにデヴィット・ペリー(Ky)を入れてマウンテンを再結成。再結成第1弾として、この年の大阪厚生年金会館でのライヴを収録した 「Twin Peaks」をリリース。翌'74年に「Avalanche」と計2枚のアルバムをリリースするが、いつの間にか解散している 。この後は転がる石の様に落ちていく。

 大して面白くないソロ・アルバムを数枚リリースしたり、'85年にはコーキー・レイングにマーク・クラーク(Bs)を加えた3人編成でマウンテンの再結成をしてアルバムを1枚リリースしたり(最近、懲りずにまた再結成したと何かで読んだ気がするな)、トリビュート物に参加したり、終いには映画「マネー・ピット」にオカマの役で出演しているが、どうも復活出来ない。今のプレイやトーンに魅力が無いと言ってしまえばそれまでなのかもしれない。

 全盛期の魅力的な太い音と歪みは、極東のリアル・タイムで知らないギターを始めたばかりのガキ(私)にすら影響を与えたくらいである。ソロは音数も少なく、テクニカルな事は一切出来ない代わりにブルースをベースにした中途半端に細かいヴィヴラートと流れのあるメロディを弾く。私は多感な10代の頃、このオヤジの影響を受けたばかりにポール・コゾフの様な細かいヴィヴラート(通称チリメン・ヴィヴラート)が出来ない。

 最後にヴォーカリストとしては見た目通りの嗄れた暑苦しい声で結構好きです。

 パパラルディ、ブルースと馬鹿テク主張しまくりベーシストと組んでいる時に活き活きしているアメリカ人のくせにカントリー臭のしない不思議なオヤジである。

 

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